スポーツ障害
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今回は、スポーツによるケガでもっとも多い足関節の捻挫について述べます。

現在日本では、なんと毎日1万2000人の人が足関節捻挫を起こしていると言われています。
これだけポピュラーなケガなのに、スポーツの現場では捻挫なんてたいしたこと無いと軽視されているのが事実です。
たかが捻挫、されど捻挫です。捻挫を甘く見ると後々のスポーツ活動に多大な影響をもたらします。特に最初の捻挫の時、治療をおろそかにすると足首の不安定性(捻挫を繰り返す)・筋力低下・関節の動きの制限・ステップ動作やフォームの異常が残り、機能低下や痛みなどの後遺症のためスポーツのパフォーマンスの低下をきたします。しかし、適切な治療を行えば必ず元のレベルに復帰できるのです。
私が重ねて強調したいのは、捻挫を軽く見ることなく、きちんと医療機関を受診し評価してもらった上で、最善の治療を受けて頂きたいという事です。

足首外側の靱帯

1度の捻挫

2度の捻挫

3度の捻挫

捻挫の程度

正常の足首及び靱帯

はじめに
皆さん、足首を捻って痛くなった時、病院でレントゲンを撮って診察してもらいますよね。そこで、医師に「骨折は有りません、これは捻挫ですね」と言われると多くの方が「よかった、捻挫で」とおっしゃいます。一方、「靱帯が切れてます」と言われると「え!靱帯が切れてるんですか?」と、これまた多くの方が驚いて身構えます。
皆さんの多くが、捻挫と靱帯損傷は別物と考えてらっしゃいませんか?実は、靱帯損傷は捻挫の中に含まれているものなのです。と言いますか、ほとんど同じものと考えていいのです

足関節捻挫とは

上の図にあるように、一般に足首を内側に捻ることで捻挫が起きます(外側に捻るタイプも少数ですがあります)。捻った程度で靱帯の傷め具合も変わってきますので、一般的に1度から3度に分類されます。
1度:靭帯の一部断裂。腫れ、軽い痛みで足首の動きは保たれている状態
2度:靭帯の大部分を断裂、引き伸ばされた状態。関節の腫れ、痛みは非常に強く血腫を見る場合がある状態
3度:靭帯は完全に断裂。関節は不安定になり足首を動かすのが困難な状態

治療

スポーツにおけるケガ全般に言えることですが、ケガした現場でまず行うことは
R.I.C.Eです。
R.I.C.Eとは
Resting(安静)・Icing(冷却)・Compression(圧迫)・Elevation(挙上)の頭文字をとったものです。
Resting(安静)損傷部位を安静にし、保護することです
Icing(冷却):患部を局所的に冷やすことで、神経の興奮を抑え痛みを軽減します。また、損傷した細胞周囲にある正常な細胞を"一時的冬眠状態"にさせ、損傷を最小限に食い止めます。
Compression(圧迫):外傷後の患部の腫れを最小限に抑えるために弾力包帯などで圧迫します。但し、強く巻き過ぎて神経・血管を圧迫しないよう皮膚の色や感覚などを確認してください。
Elevation(挙上):患部を心臓より高く挙げることで腫れを抑える効果があります。
以上の処置を同時に行います。
次にR.I.C.Eを行いながら病院を受診して下さい。
レントゲンを撮り診察した上で、どの程度の捻挫か判断いたします。
1度の捻挫:捻挫用のサポーターあるいはテーピングを行い通常2週間以内にスポーツ復帰可能です。
2度3度の捻挫:ギプス固定が必要です。ギプス除去後、捻挫用サポーターないしテーピングを計6週ないし8週ぐらい経過を見ながら行います。ギプスがはずれた時点で捻挫防止のための体操を指導いたします。スポーツは経過を見ながら、ジョギング→ダッシュ→各種目の特殊な動きと徐々にアップしていきますので、元のレベルへの復帰は2ヶ月から3ヶ月かかります。

なお、ギプス固定後、2週程度様子を見ても痛みが取れない場合は、レントゲンで写らない関節軟骨を痛めている可能性が高いので、MRI検査が必要になります。

基本的に足関節捻挫は手術せず保存的に治療できます。しかし、保存的治療を行うためにはきちんとした固定、きちんとしたリハビリが不可欠です。

そこでリハビリ段階で非常に重要となる、固定の方法である捻挫用のサポーターとテーピングの使い分けをまず説明します。

捻挫用のサポーターとテーピング
整形外科で処方する
捻挫用のサポーターは、捻挫をおこす動作を防ぐために考えられたものですから、市販されているサポーターとは大きく違うことをまず頭に入れて下さい。その上でテーピングとの使い分けを説明します。
サポーターの長所は手軽に着脱できる点です。しかし、固定力に関してはきちんとテーピングされた場合に比べて落ちる点が短所です。一方、
テーピングの長所は初期の固定力がサポーターより強い点です。ここで、初期固定と言いましたが、テーピングは皮膚につけるわけですから、激しい動きをするうちにどうしてもゆるんできます。ですから、スポーツ活動が長くなる場合は巻き直さないといけない点、テープかぶれをおこす点、そしてなによりテーピングを巻く技術をマスターする必要が有る点が短所です。しかし、スポーツをやる方にはきちんとしたテーピング技術をマスターして頂きたいものです。当院では皆様がテーピングをマスターできるようきちんとご指導いたします。
以上をまとめますと、
短時間のスポーツの場合はテーピング、時間が長い場合やハーフタイムなどテーピングを巻き直す時間がないようなスポーツの場合はサポーターを選択された方がいいと思います。